今回の一冊は、スティーブ・ジョブズ氏が過去に行ったプレゼンテーションの解説本です。何故、ジョブズのプレゼンに人が惹きつけられるのかを著者が技術的な分析を加えて紹介します。著者が熱狂的なジョブズファンであり、無条件でジョブズ万歳であり読みづらく感じるかもしれません。それを差し引いても本書にはプレゼンのノウハウが詰まっており読んで損することはないと思います。
スポンサーリンク
人にどうやって興味を持ってもらうか
プレゼンに限らず人に話を聞いてもらうには、相手が「なぜ気にかける必要があるのか」を意識することが大事です。そのためにはどうしたら良いのかを考え方、テクニックなどジョブズ氏の過去のプレゼンを題材に著者の体験談を含め分り易くまとめられています。
練習が大事
いかに素晴らしい資料を作成しても、しゃべりが悪ければ聞く気が失せてしまいます。話し方の解説はもちろんのこと、台本を捨てる(必要をなくす)までの練習方法について紹介されています。ジョブズ氏の練習の一幕で、ライトアップのタイミングに対しても納得がいくまで続けるとあります。世界屈指のプレゼンターでも練習には大きな時間を費やしていることが伺えます。やはり一に練習、二に練習、とにかく練習ですね。
ドキュメント用 or プレゼン用、どっち?
本書を読む上で注意しなければいけないのが、作成する資料がドキュメント用なのか、プレゼン用なのかです。日本では(外国のことは詳しく分かりませんが)、プレゼン資料と言えばドキュメント的要素も必要とされるケースが多いと思います。本書の解説は、後者のプレゼン用としてのものです。
おっさんチェック
本書を読めば、アイデアを上手に売り込むためのテクニックは身につくだろう。しかし、自分のサービス、製品、会社、主義主張に対する情熱がなければ、テクニックなど何の役にもたたない。コミュニケーションの極意は、情熱を心底かたむけられるものを見つけること。そして、見つかるのは「モノ」ではなく、モノが顧客の暮らしをどう改善するのか、であることが多い。
(シーン3:救世主的な目的意識を持つ)
会社、製品、サービスなどのビジョンを1文で表すヘッドラインを作ること。効果的なヘッドラインとなるポイントは、簡潔であること(70文字以下)、具体的であること、受け手自身のメリットを示すことだ。
(シーン4:ツイッターのようなヘッドラインを作る)
ロードマップの作り方
- 紹介する製品、サービス、会社、構想について、聴衆に知ってほしいと思うポイントをすべてリストアップする。
- このリストを分類し、主要メッセージが3つとなるまで絞り込む。この3つのグループが、売り込みやプレゼンテーションのロードマップとなる。
- 3つのキーメッセージ、それぞれについて、効果を高める部品を用意する。体験談、事実、事例、アナロジー、メタファー、推薦の言葉などだ。
(シーン5:ロードマップを描く)
ジョブズは先を急がない。プレゼンテーションでは数秒間もじっとだまり、それが聴衆に染みわたるのを待つ。これに対して普通のプレゼンターは、とにかく先へ先へ急いでいるように見える。いや、実際、急いでいることが多い。与えられた時間で話しけれないほどの内容を詰めこんでしまうからだ。ジョブズは絶対に急がない。何度も練習して、ゆっくりとしゃべり、間をとって言いたいことが理解されるまで待てるように仕上げてあるからだ。
(シーン14:存在感の出し方を身につける)